2010年10月30日土曜日

生物多様性条約締約国会議CDB/COP10(報告)

名古屋で開催されたCBD/COP10では、さまざまな活動をしたり、環境についていろいろアピールすね場を与えていただきました。地域のミニコミ誌に書いた報告文をご覧ください。また、生物多様性で、このホームページを検索していただいくと関連の記事が出てきますのでお試しください。



生物多様性条約締約国会議 COP10に行ってきました。

 神谷要 ()中海水鳥国際交流基金財団

 

 201010月に名古屋市で開催された生物多様性条約締約国会議に行ってきました。といっても、もちろん国の代表ではありません。ラムサール条約もそうなのですが、一部の国際条約の会議では、サイドイベントや関連の展示ブースなど様々な活動が会期期間中に実施されます。このような活動は、今回は会議場に隣接している白鳥(しらとり)公園で実施され、会議をよい機会として政府や研究機関、NGOのアピール場となっていました。テントの数は200以上あり、海外のNGOや政府のものまであります。テントには超大型の200人規模の同時通訳付きのイベントが行えるものもあり、まさに環境保全の万博といった雰囲気でした。そのため、今までに知り合った国内外の友人にたくさん会うことができました。また、これらのブースを見ていて面白いのは、政府の方針に反する展示も自由に出展していることでした。環境省が準備したテントに、大小さまざまな市民団体からあちらこちらの開発に反対する展示ブースが出展されていました。日本は民主国家なのだと妙に安心してしまいました。

 ただ、国の代表の入る会議場とこれらのテント村は2メートルほどの壁で仕切られ、許可なく入れないようになっていました。議場に入るためにはセキュリティーは空港並みに厳しいものでした。

 さて今回米子水鳥公園は、2つのサイドイベントに参加するために名古屋へ行ってきました。一つは、米子水鳥公園が参加している渡り性水鳥に関するフライウェイ・パートナーシップ事業をアピールすること、もうひとつは、子どもたちの湿地交流です。フライウェイ・パートナーシップのイベントでは、未だに水鳥の減少傾向が30年前から変わらないことが、国際的なセンサスによって明らかになったことが報告されました。これらの元となるデータは、野鳥の会鳥取県支部のような地域の団体が集まって調査したものです。このようなデータが集められて、世界で活用されていることを改めて感じました。

また、湿地交流では藤前干潟のふれあい祭りに、米子水鳥公園のラムサール子どもクラブの石田咲歩子さんと樋口未歩さんと一緒に参加しました。地元の名古屋の子供たちや、韓国のチャンウォン市の子供たちと交流しました。とくにお互いの湿地の活動を報告する発表会では、名古屋の子どもたちは演劇やクイズなどを取り入れ楽しい発表をしていました。私たち子どもラムサールクラブも中海の代表として発表し、ちょうど同じ時期に藤前干潟も干拓が中止になったことから話が盛り上がりました。

さてCOP10は、エコを目指した会議でした。今回の会議について、難しい話は報道に譲りますが、会議はずいぶんエコを目指していることがよくわかりました。ゴミは10分別以上、参加者に公共交通機関でできるだけ移動してもらうために地下鉄の無料パスを配ったり、飲み物の紙コップを削減するためにサーモカップを配布したりしていました。2005年の愛地球博からの流れを大切にしていることを感じました。

ゴミ問題が生物多様性とどう関係があるのと思う方がいるかもれませんが、私たちは藤前干潟がゴミ捨て場になるために埋められようとしていたことを忘れてはいけません。それもたった10年分のゴミ捨て場としてです。いま、ゴミはリサイクルせずに埋めてしまった方が、コストが安く済み、エネルギーコストも低いという環境経済学者もいます。しかし、これは干潟や生物多様性の価値を経済的にゼロと考えているからです。干潟や生物多様性には大変な価値があります。それは、今回のCOP10で多くの国がまさにその生物多様性の利益配分で対立したことからも明らかです。今後とも、身近な生活のエコも気にしながら、世界を飛び回る鳥たちを見ていきたいと思ったCOP10でした。

 

神谷 要